怒りのピークは6秒

普段は冷静な人間でも、突発的な事態に見舞われると感情的になってしまうことがあります。

「感情的になるな」と言われても、人間は感情の動物です。

そんなこと言っている人も、感情的になって相手を制するためにそんな発言をしているのです。

そういうものです。

 

人を衝き動かす感情、喜怒哀楽のうちで最も抑制しづらいのはやはり「怒」です。

怒髪、天を衝くというように。怒りのパワーはまさに瞬間湯沸かし器。

 

僕も普段はそれほど感情的にならないようにしている方で、電車で池沼が話しかけてきても笑顔で返したり(僕は同類と思われているのかよく隣に座られる)しています。

そんな僕でも、世界一のオンラインゲーム〝LoL〟をプレイ中にクソボケ外人が脳に障害があるとしか思えない言動をとったときには思わず強い怒りを感じてしまい、高級キーボードのタイピング性能と稚拙な英語力をフルに活かして高速罵倒チャットを始めてしまいます。

 

怒りは感情の中で最も激しいものですが、同時に最も持続しないものでもあります。

その日とても腹立たしいことがあり納得のいかない思いを感じていたのに、寝て起きるとすっかり落ち着いてて、「なんであんなに怒っていたんだろう?」と感じた経験は誰しも少なからずあるでしょう。

 

特に頭に血が上ったような瞬間的な怒りの場合、その苛烈さもさることながら冷えるのもまた速いのです。

そのピークはなんとたったの6秒。

射精の快感が持続する時間よりは少し長いか?くらいですね。

よくある衝動的な殺人や暴行事件は、おそらく相手を殺したくなるくらいの怒りを感じてからのこの6秒間に行動に移されているのでしょう。ドラマでもよくある灰皿ガツーンはまさにそれ。

 

確かに憤怒のボルテージは凄まじい。

実は誰だって人を殺してしまってもおかしくはないのです。

京極堂の言う「通り物」にもこれが含まれているのでしょう。

 

しかしそこでグッとこらえる。

全力で打ち消そうとする。

別のことで思考を上書きする。

 

そうすることで、人を殺さないで済むのです。

6秒。

そう、たったの6秒ですが、これが実に長い。

怒りという本能に訴えかける暴力的な感情に囚われている中で、この6秒は永遠とも感じられます。

 

しかもこの怒りを暴言や八つ当たりなどで半端に消化してしまうと、勢いは弱まるが持続時間が長い感情である「憎しみ」に変化してしまいます。

これはいけません。

6秒間、全力で怒りと戦いましょう。そして必ず勝利しましょう。怒りを逃がしてはいけない。怒りに囚われた自分を許してはいけない。

 

 

僕にもつい先日、この6秒間は訪れました。

世界一のオンラインゲーム〝LoL〟をプレイ中に、ガイジ外人の下らない舐めプで大逆転負けをした直後のことです。

 

ガイジ外人「this team」

 

!? 

 

1秒後にリモコンを手に取り

2秒後にテレビに駆け寄り

3秒後から全力で画面を殴りはじめ

6秒後には叩き割りました。

 

全力で、テレビを叩き割りました。